※利用規約※ / 利用方法 / Q&A
Diary : Sole / Lune / Terra / Caelum
※表紙は「キャラクター名(ジャンル名)」で統一して下さい。※

▼|最初|前|次|最後|書き込み|検索|更新
1: 星/導/シ/ョ/ウ(2/4/3/4)
2026-04-30 20:33:28

フィクション/1PL多PC

[編集][管理][削除][戻る]


36: 🐙
2026-10-07 20:59:10

誰にでも優しくする自分が好きじゃない。「あのひと」とか「そのひと」のためだけ、本当は優しくしたかった。誰にでも優しいって自分本位なのがよく見えてしまうから嫌なんだろうね。本当は、誰かのためだけに優しくするのも、自分のためなのに。誰かのためのせいにして、自分を失いたくなる。裏を返せば、誰かに自分のためとして、俺だけに優しくして欲しい。俺だけがいい。君だけは世界の中で俺の味方でいてくれませんか。それの真偽をどう確かめるんだって言われても、確かめようがないんだけどさ。

¿
信頼と見下しって紙一重だと思うんですよね。頼りすぎればそれは見下しと変わらないし、見下しすぎれば友人のように思えてしまって、結局、相手に甘えてるって気持ちは変わらないんだろうな。俺は甘えるのがあんまり得意ではなくて、それは本心を話すとか、どう見られるか考えずにいるとか、言葉を選ばないとか、そういう意味なんだけど。分かりやすく甘えるのは難しいことじゃないのに、ありのままで話すことは本当に難しくて、おまけにそれを甘えのように感じている。だから、頼りきってだらけている相手にか、それともどうってことない人なんだろう、もう会うことはないかもなって見下してる相手にじゃなきゃ、本当のところなんて話せやしない。誰かに見られているその誰、すら分からないこんな書き溜めでさえ、俺の言葉は常に二重も三重も抽象に包まれてるんだから、お察しってわけ。多分ね、本当の本当の話なんて誰にもしたことがないんだよ。命の燃えているところがありありとみぞおちに感じられて、たまにそこに本当に炎があるようにすら思えて、俺はそれを守るために生きている、とかそういう話もね。あ、これも嘘でした。全部信じなくていいよ。ちょっと信じると裏切られるかもしれなくて、とたんに信じたことが悲しくなるからさ。悲しくなっても別にいいやって人、もしくはとりわけ俺のために悲しくなって欲しい人にしか、俺はきっと話さないことがあって、それすら優しさになるのなら、やっぱり優しさは俺のために存在するんだと思います。でも、これはここだけの話なんですけど、ほんとはね。おまえのために優しいんだって言って、それを信じた俺とおまえで取り残されたい気持ちも、線香花火が落ちる瞬間くらいのほんのちょびっとだけ存在する。


君には俺だけなんだって思えるほど辛抱強く俺の傍にいて、俺の頭の中を全て見聞きしていって、理解しなくてもいいからただそこにあって欲しい。あ、何、今何してたのかって?ウェンといました。へへ、バレたか。アルコールって煙草より依存性、高いらしいですよ。お気をつけて。

[編集][削除]

37: 🐙
2026-10-07 21:23:34

君は俺を愛してくれますか。俺だけを、だよ。そうじゃなきゃダメです。俺を綺麗だって、美しいんだって、かっこいいんだって、素敵だって言うくらいなら、俺をめちゃくちゃにきたなくするための準備をしてから挑んできてくれよ。傍観者なんか必要ない。俺のたったひとつの二人称になって。あの海に、俺と飛び込んで、思いっきり潮にまみれて、それからわナンバーに乗ってあの森の向こうへ行こう。俺は君をどこにも返さないから、君も俺を、俺が潰えるそのときまで、離さないでいて。

[編集][削除]

38: 🐙
2026-10-07 21:56:52

俺がアルコールに敗北して可愛らしくならないと惚れられもしないような人はお呼びではないから、素面の俺の心底を見抜いて、苦心して仕掛けた全ての拐かしを出し抜いて、お前が俺を敗北させてよ。簡単に手に入らないものの方がいいよって余裕ぶって笑ってから、その実俺の手を強く握っちゃうような可愛い人が俺は好きで、因みにずっと俺は、俺が可愛いってことをちゃんと知らせてるはず。キュートの日の生まれなんだよってなんべん言ったと思ってんの。俺のこと、ちゃんと分かってて。わかった?分かったなら、黙って「ただいま」とか「明日ね」とか言いな。それができる距離にいることがそもそも、俺たちの天国なんじゃないの。

[編集][削除]

39: 🐙
2026-10-07 23:18:41

🎶look at the sea/おいしくるメロンパン

「学生時代に聞いていたらきっとめちゃくちゃにハマってたと思う」という友人の言葉を、この曲を聞く度に思い出す。友人はどんな恋をしてたんだろうね。毎日隣にいて、毎日話をして、顔を見ていたのに。なにひとつ知らないところがあったんだって、思い知らされる。誰かをうんと愛したいと思いながら友人は、俺と友達をしていたんでしょうね、俺の肌の向こう側にいる大事な人を、これほどまでに、意味がわからなくて愛おしいと思うことはない。まあ、記憶が無いのでこれは全部作り話です。びっくりしたっしょ。ざまあみろ。

[編集][削除]

40: 💡
2026-10-07 23:26:18

俺が笑顔でいるからって、俺を愛そうとしないでもいいよ。それってお前のためであって俺のせいじゃないから。俺の吐き出したどうしようもない言葉とか独白を読んでから、それでもまだ俺の見え方が変わらないのなら、その時にちゃんと俺の名前を呼んで。できれば、あの赤いカーペットや雪の日を塗り替えて欲しい。お前の忘れたいことも上書きしたいことも俺に教えてよ。会話は後戻り出来ない今を作ること、傷つけ合うこと、命のはしっこを差し出し合うことに等しい。もしこれに同意できないなら、勿論しなくってもいいよ。でも、その時は俺を一ミリも愛さないでいて。

[編集][削除]

41: 💡
2026-10-07 23:36:59

わからない、って言わないで、俺の事。すべてが俺であるって認識することを諦めないで。俺も君の多面的な全部を、見える限りを認識するから。

[編集][削除]

43: 🐙
2026-10-10 01:06:28

あなたが書いたものがまるで俺があてたものをなぞっているように感じられてしまったのも、俺がただあなたをとってもお慕いしているからに過ぎないですよね。ファンボって厄介。でもずっと、ずっと待っていた更新でした。嬉しかったです。え〜と、次はいつになりますか。おなかいっぱい、読ませて欲しいと思う。外に出ようかな、せっかくだから。ほんとは直接伝えたいことがあるんです。つもりにつもる話を俺に、させてくれませんか。

[編集][削除]

44: 💡
2026-10-10 01:20:42

(検閲)なんてしないでって俺は思ってるよ。俺に。(検閲)の方がいいよってそこはかとなく言いたくなるのも、俺らしくないから。(検閲)しないで。お願い。それでも胸の奥に灯った、やわらかな火が尽きることはなくて、もしかしたら俺、大人になってから初めて(検閲)を自覚しちゃったのかも。ヤバいって。まずいよ。ほんとに、やめてよ。もう悲しくなりたくないよ。

(検閲)前に手放しちゃおっか。大人げないけど、逃げ出したい。無理やり横を向くのも嫌だし、ましてやバレちゃうのなんて有り得ない。ひとりで抱えてね、って言われんのはもっと。そうなるくらいなら二度と話さないで、いい思い出にしたい。臆病だよね。好奇心でやけどをした結果、もう俺は血まみれになったからさあ。後戻り出来ないの。これ以上負けらんないの、感情の濁流には。

[編集][削除]

45: 🐙
2026-10-10 14:56:16

どこにも、行かないでください。手を伸ばさなくちゃ。今から走っていくから、どうか、そこにいて。

[編集][削除]

46: 💡
2026-10-11 16:13:13

しあわせ

1.
忘れたいものを忘れられない事を今は、幸せだと思う。積み重ねた記憶のぶんだけ君を理解することが困難になるとしても。そのままに俺から差しだせる優しさを沢山、用意できるってことだから。
忘れられないことがいっぱいある俺でも、君は許してくれますか。


2.
君のことが分からないことを幸せだとは思えない。今は、それを独占欲と呼ぶことを知らないふりしている。まだ感情には辿りつきたくないから。苦しまないために重ねていく嘘があることを、君にいつか懺悔したら、笑ってくれる?俺が君を好きで、これまでもずっと好きだったからそうしたんだ、と、俺の都合のいいように、理解してくれるかな。
優しいきみの幻覚を描いて、ぜんぶおわりにしようよ、俺。きみの全てを知り尽くして、血まみれになんてしたくないよ。

[編集][削除]

47: 🐝
2026-10-12 19:15:13

ロウが俺の腕を強く引いた。

「走れ。」
「なんで?」
戸惑う俺を他所に、ロウの力はどんどん強くなっていく。

「ちょお待ってや!なんで、なんでなん?」
「いいから走れ!間に合わなくなる前に!」

焦るロウの声。

足元で揺れる浅い水面は鏡のように俺たちを映していた。心。ぐさりと刺さったままの衝動。肌の下にしまった、一度は尽きた感情が再び熱をもって、俺の体の中を暴れ回って苦しめてくること。鏡写しのロウは、実体の俺を見つめている。俺は、俺は?蓮の香りがほんのりと体を取り巻く。すぐそこにある、天国のことを思い出した。時限爆弾付きの、俺の天国。視界がうっすら赤く染まっている。ああ、しっかり隠さへんとあかんなあ。

「マナ!」
ロウの声で我に返る。二つの瞳と目が合う。心臓が鳴っているのがいやに、居心地が悪かった。しまった感情を取り出してまた、箱にでも入れて眺めていようか。安全性のない棺には収まりたくはないなあ。せめて、鐘、鐘を。

「だから走れって、しっかりしろ。まだお前は何にもしてない。なんにも言えてないだろうが!」
そう叫ぶと、とうとうロウは俺の腕を引いて走り出してしまった。縺れる足で引き摺られるように後を追う。俺はなんで、責められてるんやろ。俺はなんで、ロウの手のひらの下の手首にどくどくと鼓動が走っていることを嫌悪してるんやろ。俺はなんで、──が──なことを、こんなにも拒んでるんやろ?

光が雨のように降り注いでいた。ロウの髪が伸びてゆく。ここはどこだ。お前は誰だ。重くなる足をそれでも動かすと、不意に目尻がぐわんと熱くなった。熱い、熱すぎる。遠くで未だ、エラーコードが鳴っているのに気付いた。数年ぶりに聞いた音だった。

いつの間にかロウは俺の手を離していた。数歩先、月の光の中でやっぱり俺を見つめている。身にまとったヒーローの衣服のその、黒い目隠し越しに強く、強く。その視線が、ひかりが俺を貫く。にぶい痛みが眉間に走る。ひかりを直視してはいけない、幼い頃、虫眼鏡を通して見ようとした光に網膜をやられて一時的に視覚は白く染まったことがある、光を集めると火さえ起こせるんや。踊り場のすりガラスにさえも強い輝きを与える。それは光であると同時に刃であり、毒物だ。ロウが口を開く。

「お前には幸せになる権利があると思う。」

俺の返答を、ロウは待たない。

「あの白い四畳半を守るのはお前じゃないし、俺でもない。感情はその体から切り取るもんでもなけりゃ、秘めることでもねえよ。いい子ぶんな。ぶつかってけ、お前の本性を忘れんな。恐怖心のせいで諦めたもんの中に一体お前自身がいくつあると思ってる?」

「……そんなん、ひとつもない。」

「馬鹿言え。」

月が光っている。俺が殺し損ねた月が。

「まだ間に合う。走れ、マナ。叶わなかったことに囚われるな。」

浅瀬を歩くような足音。ロウが俺の肩を掴んで、揺する。

「お前の好意をお前が馬鹿にしてくれるな。頼む。……頼むよ、ヒーロー。諦めんな。」

月を殺し損ねた俺は結局綺麗なものを好きな人に見せたかったあの純粋な頃の俺を失えない。過去の記憶による行動規範はどれほど放棄したくても俺の両腕を冷たくしていく。ロウの血の通った手のひらが俺に与えていく体温を、俺はどうしたらええの。このまま冷えていけば、せめて、あの幻覚の中で幸せに終われたんやで、俺は。俺は、誰。



俺は何にとっての、ヒーロー?

[編集][削除]

48: 🐺
2026-10-12 20:43:35

俺を救ってくれよ。わがヒーロー。

[編集][削除]

49: 🐺
2026-10-13 16:23:37

🎶:浪漫と算盤/椎名林檎・宇多田ヒカル

お前を思う度に咲く花がある、例えば白く小さな花。アリッサム、藤袴、アベリア。それに代わるものはお前の笑顔しか多分、ない。困ったな。大変困ってるよ、こっちは。

(検閲)が鼓膜の内側で木霊して、ともするとうっかり、その声ばかりに囚われそうになる。夜が明けて、もう一度(検閲)までは、煩わしいほどに(検閲)そのリフレインをただ甘受していたい。とか、らしくないのでそろそろやめまーす。マジで、ほんとに。困ってるよ。

[編集][削除]

50: 🦒
2026-10-15 01:30:27

太陽。俺と同じところまで、落ちてこい。

[編集][削除]

51: 🦖
2026-10-15 08:56:58

めいていみめい

できることならずっと酔っ払っていたい。世界は、少しくらい歪んでいたほうが綺麗に見えるよ。インプットが足りなくてもう出てこない空っぽの語彙を振りまわして何とか落っこちてきた言葉を並べて、僕自身を表現しようとしたって、酩酊が足りなくて端的になっちゃうんだ。生きるうえで必要なのは真面目さとか知識とかひたむきさより、ほんの少しの遊び心や適当さだったりする。ところで、僕らを傷つけていくのが他人のそういうものだったとして、その人に必要なんだからって許せるもんなのかなって。思うんだよね、誰かの幸せを願う時に代償として払う自分の時間のこと。許していいのかな?って。ちょっと現代社会に毒されすぎかな。大学の同期がね、すんごく資本主義を嫌ってるんだけど、その割にはこの社会構造の中で上手に生きてる。そういう上手な適当さ加減を羨ましく思うたび、結局僕たちはマジョリティの中に生きるしかないってことを思い知るんだ。そのことをちゃんと自覚していたら「普通」に歯向かうことは難しいし、何より恥ずかしくなるような気もするんだよ。少なくとも僕は恥ずかしい。自分が「普通」じゃないことが居た堪れなくて恥ずかしいし、「普通じゃない」ことを叫ぶのも、そのくせ「普通」に迎合してしまうことを避けきれないのも、恥ずかしい。そういう上手にやりくり出来ない自分のことがね。自分の信念とかが社会と真っ向に対抗しちゃう時、自分の幸せが他人を傷つける時、はたまた自分とは違う少数派が多数派に噛み付いてるのを目撃した時。込み上げてくる、ああ、お酒欲しいな、全部ふわっとした酔った感覚で誤魔化しちゃいたいなってあれ。そう思うのは、僕が大人になったからですか?そんなことを考えてるくせに、僕は平気な顔をして僕を全うしながら生きていくんだよ。守らなきゃいけないラインだけ死守して、狂ったふうを装ってまともに、公共の福祉が最大になるように努めて己を機関にして。そうやって消費する自分のことは、自分のためなんだって思い込むことで必要な犠牲として処理してる。僕が被害者面すぎるって?そうかもね。

でも、君ならどう。君がもし、世界のうちで弱者寄りでいるしかないときがあるなら?それを叫びたくても声が出ないなら?「普通」や「普通じゃない」の狭間で恥ずかしくなる時は?ヒーローが必要なんじゃないの。だからいるんだよ、ヒーローが。それが僕らなの。どう足掻いたって捨てられない頑固さを、武器に変えて戦うんだよ。


それじゃ、もう一個だけ聞いていいかな。
そんなヒーローの背中に、誰かの苦しみの代わりに刺さった矢。それは一体誰が抜くんだと思う?

[編集][削除]

52: 🐙
2026-10-16 01:56:34

信じていない、ってことを口に出せるほど素直でもない。信じたい、って思えるほど誰かの言葉が俺の胸を打つことも、ないのかも。物分りの良さそうに見えるだけで実際は表情筋の不具合にすぎないポーカーフェイス、それにほんのりと嬉しそうな感情を乗せているだけなのかもしれないね。俺って。そうすることがどれだけ筋力を総動員した結果だったとしても、俺がどんな顔をしているつもりでも、それを見た誰かの評価が結局は世界の受け取る俺という情報の全てだ。じったいを失っていくさまはまるで自分が始めから蜃気楼だったみたい。俺が見ている君も、君の言動も全てが、俺の世界に存在しているかのように見える幻想なのかもしれませんね。君が酷く優しく俺に差し出す手を、苦笑いをして握った。君が眠そうに俺を呼ぶ声も、本当に君の声なのかすらたまに分からなくなる。だから何度でも、何度でも俺が忘れないように毎秒でも、柔らかい声で、甘ったるく俺を呼んでいて。俺たちの間になんの名前もないうちに(つまり、言葉に俺たちの仲を規定されたせいで幻覚になって、奪われてしまう前に)、ショウ、ってそんな、誰も呼ばない俺の名前を、そっと口にしてくれますか。

君の優しくて独善的で明るくふんわりと軽やかな、俺の痛みなどきっと理解しないそのひかりのような、声が、俺は好き。だから君が眠った後にそっと髪に触れていること、一生知らないでいてくれませんか。おやすみ。やわらかい俺の、春。

きみがなにもしらないうちまではおれはきみをすきだ、そのあとのことはなにもしらない。

[編集][削除]

53: 🐙
2026-10-16 04:10:42

俺は君にこんなにも名前を呼ばれている、その事が俺を傷つける時がある。名前を呼びあっても解けることのない、俺たちの間にある隙間によって。身勝手だね。

[編集][削除]

54: 🐝
2026-10-16 06:06:05

「僕から見た君」。俺そのものを規定せえへんと、自分の視界で切り取った俺のことを教えてくれる、その真っ直ぐで誠実なありかたに、じわじわと広がっていくような気がする、体温。それでも、体温を分けてくれる正しい握手より、感覚や思考や感情そのものを露呈するような、俺の肩へかかるお前の頭の重みを感じてみたいと思う。好意のせいなのか、好奇心のせいなのか。

[編集][削除]

56: いなみ
2026-10-16 08:08:03

何にも聞きたくないな。今日はいつもより全ての音が大きく聞こえるから、イヤフォンの音量を一層あげておく。音楽を流しておかないと自分の鼓動もうるさく感じるんだよ。耳元で揺れる髪の摩擦の音さえもね。歌うこと。話すこと。音を聞き取ってキーボードを叩くこと。人より少しだけ得意なことを並べるたび、その裏側にずっと抱えてきた人より少しだけ苦手なことがじくじくと胸を刺す。

大通りを歩くのが大好きなのに、音が苦手なんだ。実はね。ある春の、空の綺麗な日に、大きな通りの歩行者天国を歩いたんだよ。本当によく晴れた気持ちのいい日で、俺はもう有頂天になりながら、足取りはほとんどスキップのようだった。大通りには音が溢れていて、俺の聴覚を強く刺激したけれど、それでも俺は幸せだった。その次の日からだ。俺の耳は水の中に入ったかのように音を濁らせるようになったの。左右で聞こえる音が歪んで、めまいがして、そういう病気にかかっちゃった。最高の日の次に最悪の日が来て、その時、欲しいもののためにずっと耐えてきた苦しさにきっと俺は負けちゃったんだ、ってそう思ったんだよな。小さい頃から敏感だった自分の感覚を、俺は音や人混みを楽しみたいがために無視して蔑ろにして、その結果俺自身を壊してしまったんだって。大通りを一緒に歩いたのは、俺がこの先ずっと一緒にいるんだと思っていた人だった。きっと世界で一番俺を大事にしてくれるし、俺もそうできると思っていた人。「ごめん、お前と会った次の日に、こんな縁起の悪いことになっちゃって。」そう謝ったのをよく覚えてる。今思えばあれは、予感だったのかな。何もかも一切は永遠じゃないし平穏無事には終われないって予感。あの日からもう、何年経ったんだろう。俺の耳は相変わらず調子を崩したまんまで、俺の隣には無事に誰もいない。今だって耳に突っ込んだイヤフォンから聞こえる音程はほんの僅かに狂ってる。少しでも睡眠を損なえば途端に失われていく平衡感覚の中で、頼りになるのは俺の手が確かに触れて握れる物だけだ。

音と認識が狂ったせいでたったひとりぼっちになってしまう最悪な世界でも、それでも俺は歌う。ギターを弾く。音楽をすること、絶対に止められない。口元や手元にチューナーを当てて、何度も録り重ねた録音を聞いて、できるだけ正確なピッチを叩き出したい。

442Hzの正しいAを、俺は愛したい。たとえ俺の耳が聞こえなくなったとしても。チューナーの針の指し示す、ぴったり真ん中のラインを目指して、声を張り上げていたいんだよ。だって君に、聞いてほしいから。俺がもしもギターをうまく弾けなくなったとしても、俺の音楽が君に、届いて欲しい。何もかも一切が過ぎ行きて、君が俺を忘れてしまったとしてもさ。

[編集][削除]

57: 💡
2026-10-17 04:10:01

だとしたら、とっくに俺は恋に落ちているんだと思う。胸を刺す光が苦しくて、咄嗟に胸骨を抑えても抑えても痛いのはきっと失うのが怖いから。失えないものって、恋だよ。俺は君を失えないよ。

失えないからって始めないのは狡いことだ、始めたって失わないものはあるはずだから。Lie to myselfその恐れに嘘をついて。君のありのままを聞かせてよ、俺はずっとここで、ありのままだけを話してる。

[編集][削除]


▲|最初|前|次|最後|書き込み|検索|更新