▼ 細道。
この間、恩師に会いに行った。
元気そうで胸を撫で下ろして話をしてたら、四十余年会ってない同級生に会いたいって言われたんだよ。
対向が来れば立ち往生してしまうような、田舎の細い山道なんて、とてもじゃないけどもう運転できない、こんな辺鄙なところまでセラフが来てくれて嬉しい、同級生にも会いたいなぁ、って。
そんなこと言われたら、行きましょうって言うしかないよね。
そうして田舎の奥地、たったひとりで暮らしてる人に会いに行った。近隣に家なんてもうないから、なんにもない山奥で、ずっとひとりで過ごしてる…想像を絶する孤独だろうね。
俺はもちろん知らない人だから挨拶だけで、川を見に行くってふたりを残して、気負わないよう話をしてもらった。
たったそれだけ。
それだけの人なのに、別れ際、大粒の涙を流してる姿に、胸が引き千切れそうになった。
帰り道は、アクセルを踏む足がやけに重たくて…足を踏み出すということは、誰かを置いていくということで、後ろ髪を引かれるって、まさにこういうことなんだなぁ…って。
人生ってままならないね。
だって、あなたの手を取って一緒に歩くためだけに、俺は他の誰の手も取れない。
だけど、それでも、あなたの手だけを取りたいんです。
2026.04.21